マカバイ書
ハヌカの起源は聖書の「マカバイ書」に記されています。実は、このマカバイ書、プロテスタントのクリスチャンはあまり読まないので、ほとんどの訳本で割愛されている文書です。
フランシスコ会訳とバルバロ訳でしか、マカバイ書を含んでいません。
マカバイとは人の名前です。
紀元前169年 セレウコス朝シリアの王アンティオコス4世・エピファネスにエルサレムが占領され、神殿が汚されるという事件が起きます。
この二年後、紀元前167年、ユダ・マカバイが神殿を回復するのですが、この神殿の回復を祝うのが、宮きよめ祭です。
神殿を汚す。神殿を回復する。
それでは、「神殿を汚す」ってどういうことなんでしょう?
また、「神殿を回復する」とは・・・一体なんのことなんでしょうか?
結論から言いますが、ハヌカを無視するなど、もってのほかです!
マカバイ書を読まないで、メシアの民を名乗るなど「おとといきやがれ」です。
まぁ、いいでしょう。
一言でいえば、このマカバイ戦争は
ヘレニズムとヘブライズムの戦争です。
<改めましてヘレニズム>
ヘレニズムとは、ギリシャ主義ということです。
アンティオコス4世はセレウコス朝の子孫です。
つまり、アレクサンダー大王の部下だったセレウコスの子孫でギリシャ人なのです。
ヘレニズムには・・・・
たくさんの神様がいます。
神様にそれぞれ担当分野があります。
豊作の神 太陽の神 海の神
全知全能の神とされるゼウスはいますが、実は制限付きの全知全能なのです。
人間は、自分の都合に合わせ、適切なご利益を下さる神様を選び拝めます。
つまり・・・人間に決定権と選択権があるのです。
自分の力で何でも決められて
自分の力で何でも乗り越えられるはず。
そう信じるのがヘレニズムです。
ちなみに、「エピファネス」とは、現人神(あらひとがみ)という意味です。
神と同じ力を持った人間です。
そういう人間力を重視するのがヘレニズムで(努力すれば、なんでもできる)
神様は人間の願望によって作られた偶像にすぎません。
ちなみに、ドイツの哲学者ルートヴィッヒ・アンドレアス・フォイエルバッハは「そもそも神とは、人間の願望が投影されたもの。映し出されたもの。」だと言います。ちなみに、この「投影物」という考え方はギリシャの哲学者プラトンが言った「イデア論」からくる考え方です。
一方
<ヘブライズムというのは・・・>
かいつまんで言うと、ヘブライ人、つまりユダヤ人の考え方のことです。
神は唯一無二 ヤッウェの神だけ
神の全知全能性にまったく制限がない。
すべてをお造りになった、創造主たる神
人間は、神の御計画によって動かされている。
つまり、神に絶対的な決定権があり
人間は神がいなければ生きていけない弱い存在(バサール)である。
神の力なしに、人間は何もできない。
そう考えるのが、ヘブライズムです。
ヘブライズムにおいて、人間はあくまでも、神がお許しくださる範囲でのみ決定権があり、神の主権性を認めることを旨とする信仰です。
考えてもみてください。原罪とはなんでしょう?
エデンの園で「善悪を知る果実」を食べたこと、そのものではないんです。
つまり、神の言いつけに背いたことそのものが、罪ではないんです。
だって、あの時「女」が「ごめんなさい。お言いつけに背いて食べてしまいました。」と
悔い改めていたら、「二人」は楽園を追放されることもなかったんです。
罪は、この行為の結果起きたことです。
では何が起きたのでしょう?
・・・「善悪を定める基準を自分においた」
これが原罪です。
つまり、善悪を定める基準が人間にあるのが人類初の「罪」であるわけだから、
ヘレニズムとヘブライズムは、真っ向から衝突するわけなんです。
棟方玲宇作「神様に従ったヨセフさん」よりヨセフの姿
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